小倉発祥の〝焼うどん〟は終戦時の1945年(昭和20年)に誕生した北九州の名物料理です。
干しうどん(乾麺)を使用した麺の「もっちり」感と「天まど」と呼ばれる卵のせが美味しい一品です。
名物料理である理由
② 北九州市小倉北区が発祥の地
③ 元祖は「だるま堂」
④ 終戦前後の食糧難がきっかけ
⑤ 小倉北区の鉄板焼き・居酒屋などで飲食可
1 〝焼うどん〟の概要
小倉発祥の焼うどんは焼きそばの代用品として普及したとされています。そこで原点である焼きそばの歴史も調べてみました。以下に焼うどんまでのルーツを簡単にまとめましたのご覧ください。
焼きそばのルーツは?
小倉発祥の〝焼うどん〟が誕生する遥か昔より、既に普及していたのが〝焼きそば〟です。
この「焼きそば」を更に掘り下げるとたどり着くのが、中華料理の〝炒麺(読:Chow mein)〟です。意味はそなまま「炒めた麺」ですね。
「炒麺」は文字どおり麺を炒めて味付けした物から、とろみをつけた餡をかける「あんかけ風」のものなど様々で、味付けは醤油や塩味のものが基本。所説ありますが大正時代の後半には、この炒麺を元に〝焼きそば〟が誕生。もしくは「炒麺=焼きそば」と呼称しだしたと思われます。
ソース焼そばの誕生
私たちが一般にイメージしている焼きそばは、ズバリソース味ではないでしょうか。この「炒麺をソースで味付けする」という発想が生まれた年代はというと、これまた所説あるらしく、少なくとも昭和初期には誕生していたそうです。
理由はウスターソースが大正時代に普及していたこと、そして昭和初期にこのソースを用いた「どんどん焼」や「一銭洋食」などが流行したことなどから、この頃には日本各地でソース焼きそばが出現したのではないか? と推測できるそうです。
小倉〝焼うどん〟の誕生
こうして終戦前にソース焼きそばが普及していたことで、ようやく〝焼うどん〟が産声を上げます。1945年(昭和20年)の終戦直後。食料難の真っただ中の小倉において、焼きそばを作ろうにも肝心のそば玉(中華麺)が手に入りにくい状態だったそうです。
そこでやむなく干しうどん(乾麺)を代用して焼きそばの代わりにしたのが、今日小倉の街で有名となった小倉発祥の焼うどんだと言われています。
発祥の店は小倉北区・魚町銀天街にある鳥町食堂街のだるま堂。この焼うどんの開発が評判を呼び、次第に小倉の街に広まって現在に至ります。
2 小倉発祥〝焼うどん〟の特徴
小倉焼うどん研究所によると〝小倉発祥焼うどん〟の定義があり、7項目ある条件のうち5項目は必ず満たす必要があるそうです。
表現は修正していますが、全項目を引用させて頂きます。
② 若松産のキャベツを使用すること
③ 豚肉はバラ肉を使用すること
④ 玉ねぎはその甘さを引き出すこと
⑤ 秘伝のソースはよく研究すること
⑥ 削り節はアジ・サバ節を使用すること
⑦ 小倉地酒で香り豊かに仕上げること
最大の特徴は乾麺
焼うどんの由来にあるとおり、やはり一番重要な要素は干しうどん(乾麺)を使用することにあります。
乾麺は通常のゆで麺よりも「もっちり」した食感にできるのが特徴で、麺の焼目をしっかり付けたほうがより美味しくなります。
〝天まど〟とは?
焼うどんの上に目玉焼きをトッピングしているもの。もしくは炒める途中に卵をおとし、程良く焼いて半熟で仕上げる焼うどんのこと。
意味は「天の窓」で、目玉焼きを窓に見立てていることからこう呼ばれるようになったそうです。この言葉が生まれたのも、焼うどん発祥店である「だるま堂」です。
発祥店「だるま堂」について
小倉焼うどんの発祥は鳥町食堂街の「だるま堂」です。
令和2年7月23日にリニューアルOPEN。コロナショックによる混乱期でしたが「小倉焼うどん研究会」がお店を継承されました。
詳しくは「だるま堂」についての記事をご覧ください↓↓
3 焼うどんが食べれるお店
小倉焼うどん発祥の店 だるま堂
小倉焼うどんの元祖として名高い、焼うどん専門店のだるま堂。リニューアルオープン後は以前よりメニューが豊富で、焼うどんのバリエーションも〝元祖〟と〝研究所〟でそれぞれ違う味が楽しめます。また小倉名物の「鯖のぬか炊き」や門司港で有名な「サクラビール」も注文でき、北九州の味を満喫できるオススメのお店です。
お好み焼き いしん
創業は明治20年ですが今とは業種が異なり、1990年に現在のお好み焼き専門店へ業種変更。
発祥のスタイルから創作の焼うどんまで、様々なバリエーションの焼うどんが魅力。食材に「小倉丸腸」や「関門海峡たこ」などを使用するなど、北九州の食材が味わえるお店です。
資さんうどん
北九州のローカルうどんチェーン店である〝資さんうどん〟 さぬき系のうどん屋として北九州でも有名で、焼うどんも食べられます。
鉄板で出してくれるので、熱々の状態で食べることができ、卵は上に乗せず横にあるのが特徴。鰹節の代わりに粉末タイプのものを用意してくれるのが、他の焼うどん屋にはないポイントです。
また資さんうどんでは、同じく名物料理のかしわうどんも食べれるため、北九州の味を楽しみたい方におすすめのお店です。
4 焼うどんのお土産
・Amazonや楽天など、使いなれていて便利
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5 ギャラリー
6 全国各地の〝焼うどん〟
突き詰めていえば、焼きそばの麺をうどんの麺にしたのが焼うどんです。なので、北九州がなにも「焼うどんの起源」であるという科学的な根拠はありません。あくまで「小倉風焼うどん」の発祥地なのです(笑)
ということで北九州市以外の有名な焼うどんを調べてみたら、……なにやら「日本五大焼うどん」なるものがあるそうです。その内一つは言うまでもなく「小倉発祥焼うどん」なので、残りの4つをご紹介させて頂きます。
亀山みそ焼きうどん
三重県亀山市が発祥の焼うどん。醤油やソースではなく、代わりに赤味噌ベースの濃厚なタレを使うのが特徴。
もともと焼き肉屋の裏メニュー的な存在だったものが、地元の振興活動により徐々に広まり、ご当地グルメとして有名になったそうです。
お店によって自分で焼くスタイルと調理済みの提供に分かれているらしく、自分で焼くスタイルは焼き肉屋さんが発祥の原点であったその名残と思われます。
津山ホルモンうどん
岡山県津山市が発祥の焼うどん。新鮮なミックスホルモンをたっぷり使用し、醤油や味噌ベースのタレと絡めて一気に焼き上げるのが特徴。
もともと古くから牛肉の流通拠点だった事もあり、ホルモン焼うどんも50年以上前から提供しているお店もあるそうです。小倉の焼うどんと同じく、地域に根ざしているご当地グルメと言えます。
いわてまち焼きうどん
盛岡県岩手町が発祥の焼うどん。いわてまち焼うどんの主な条件は、町内で作られた麺を使用し、また町内産の食材を3種類以上使用すること。
町内の食材を使用するという条件のため特定のジャンルに縛られず、焼うどんのバリエーションが豊富なことが特徴。いづれも町内産食材を使用した「しいたけのあんかけうどん」「ホルモンの焼うどん」「ミートソースの焼うどん」など、個性豊かな焼うどんが楽しめます。
鳩ケ谷ソース焼きうどん
埼玉県川口市が発祥の焼うどん。市内のブルドックソース(株)鳩ヶ谷工場と共同開発した「鳩ヶ谷焼きうどんソース」を使用するのが特徴。
埼玉は古くから〝うどん〟が身近な食材として親しまれており、町おこし事業をきっかけにブルドックソースとコラボしたのがきっかけで誕生。鳩ヶ谷の焼うどんはこのソースを使用すること以外、特に厳しい条件はないため、それぞれのお店が独自の焼うどんを展開しています。
7 まとめ
小倉発祥〝焼うどん〟はいかがでしたでしょうか?
ご当地グルメとして全国で最初に〝焼うどん〟の存在が知られたのは、歴史ある小倉の焼うどんが今のところ有力ですね。
しかし他県の焼うどんもそれぞれが個性豊かで、どれも美味しそうです。
そもそも、調べていて思いましたが「日本五大焼うどん」という言葉を聞いたのが今回が初めてでした(笑)
このように他県で徐々に〝焼うどん〟が注目され始めているので、いつの日かこの「五大焼うどん」が「焼うどんの聖地北九州」に集結しても面白いと思います。場所は小倉北区か、いつもラーメンフェスティバルが行われている門司港がいいですね(←勝手に誘致構想中)
ちなみに、私が食べてみたい他県の焼うどんは「津山ホルモン」です(笑)
それでは今日はこの辺で。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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