城下町である北九州の小倉北区は、古くからぬか漬けの食文化が盛んな地域。現在も漬物としての〝ぬか漬け〟そして「じんだ煮」とも呼ばれる〝ぬかみそ炊き〟が地域に根付いています。今回はそんな小倉のぬか料理についてご紹介します。
北九州のお土産である理由
② 生産地/北九州市・小倉北区
③ 製造者/主に旦過市場の小売店や飲食店
④ 地元らしさ/小倉藩の初代藩主により定着
⑤ 入手範囲/北九州市小倉北区(旦過)・Webで可能
- じんだ:糠味噌(ぬかみそ)のこと「じんだみそ」とも呼ばれる
- 糠みそ漬け:糠を漬け床にし、野菜や魚などを漬物にすること
- 糠みそ炊き=魚の身などを糠床と調味料で煮て調理したもの、じんだ煮とも
- じんだ煮にはイワシ・サバがよく使用される
- 現在も一部の家系で「百年床」と呼ばれる糠床が代々受け継がれている
1 小倉〝ぬか料理〟の概要
小倉の伝統食〝ぬか漬け〟
北九州・小倉は古くから「ぬか漬け」料理が盛んな地域です。この地域にぬか漬けの文化が根付いたのは江戸時代の初期。当時、小倉城の初代藩主だった「小笠原 忠真」により広まったとされています。
信濃(現在の長野県)松本藩主・播州(現在の兵庫県)明石藩主を経て、小倉城の藩主となった小笠原氏。幼少期を信濃で過ごした小笠原氏は、そこでぬか漬けの食文化に触れることとなり、成人後もぬか漬けを好んでいたとされています。ちなみに現在でも長野県は漬物が盛んな地域として有名ですね。
小倉城の藩主になってからは、城下町の庶民にも積極的にぬか漬けを推奨していたことで知られており、小倉の下町をはじめ豊前の広い地域でぬか漬けの文化が広まりました。また小笠原氏自身もぬか漬けの桶を城内の「床の間」に置いておくほど大切にしていたことから、ぬか漬けのことを「床漬け」と呼ばれるようになったそうです。
ぬか漬けから派生した〝じんだ煮〟
このように江戸時代の初期からぬか漬けの文化が北九州には広まっていました。このぬか漬けから派生したのが「ぬかみそ炊き」です。別名「じんだ煮」とも呼ばれる、ぬか床を加えてる魚の煮込み料理。この料理がいつ生まれてのかは定かではありませんが、豊前にはこれによく似た料理があったようです。
豊前(福岡県東部~大分県北部)には「イワシの糠漬け」という糠料理があり、生のイワシを塩と糠で漬け込むことから、福井県の郷土料理として有名な「へしこ」の製法に近いと言われています。
こうした地理的にも近い「豊前」の食文化に影響されたことで、小倉の郷土料理である「ぬかみそ炊き」へと発展したかもしれません。
2 ぬか料理の種類
ぬか漬け
糠(ぬか)にキュウリやニンジンなどの野菜を漬け込み、漬物を作る調理法のこと。
漬物を作るための糠床は毎日手入れをし継ぎ足していく必要があり、小倉のぬか床は主に塩・唐辛子・山椒の実・昆布などで味を調えるのが特徴です。
また、小倉には一部の家系で代々糠床を継承してきたことから「百年床」と呼ばれる糠床があり、ぬか料理と密接に関わってきた歴史があります。
じんだ煮
主に青魚を小倉伝統の「糠みそ」で煮込んだ、煮込み料理のこと。
調理法をざっくりと説明すると、サバ・イワシなどを醤油・砂糖・みりん等の調味料でじっくり煮込み、最後の味付けとして漬物を漬けた糠床を加えます。
青魚の栄養を丸ごと摂ることができ、糠を加えることで青魚特有の臭みを消す効果があるそうです。
3 売っているお店
小倉城
糠蔵
「糠蔵」は小倉城の天守閣の近くに位置する着見櫓(つきみやぐら)、を店舗にしている、風情あるぬかみそ炊きのお店です。
同店ではぬかみそ炊きの他、小倉城に代々受け継がれている「百年床」を使用した糠漬けも販売しています。
小倉城の観光のお土産どころとしてもオススメのお店です。
旦過市場
ぬかみそだき ふじた
旦過市場の中央通りのほぼ真ん中に位置する、ぬかみそ炊きの専門店。
商品はぬかみそ炊きの中でも最もポピュラーなイワシとサバを販売しています。
真空パックでの販売も対応して下さるので、お土産として購入可能です。
また、北九州市内の土産店で購入できる「ちょびぬか」を販売されるなど、ユニークな商品を積極的に開発されています。
宇佐美商店
こちらも旦過市場内で有名な、ぬかみそ炊きのお店。宇佐美商店は長い間受け継がれてきた「百年床」の糠を使用していることが特徴です。
オーソドックスなイワシやサバのぬかみそ炊きの他、他の商店にはないスペアリブのぬか炊きも販売しています。
ぬか炊き以外にも百年床で漬けた「ぬか漬け」やその他、白菜漬けや辛子高菜などの漬物も販売されており、商品のバラエティーが豊富です。
4 食べれるお店
小倉鉄なべ
【総本店】北九州市小倉北区魚町2-3-12
【魚町店】北九州市小倉北区魚町1-4-15 URG魚町ビル.2
【エキナカ店】北九州市小倉北区浅野1-1-1 小倉駅新幹線改札口正面2F
【Web】http://tetsunabe-g.com/
小倉北区に3店舗を構える、鉄なべ餃子のお店。
同店では「サバのじんだ煮」が食べれる他、同じく小倉名物の「焼うどん」や、看板メニューである八幡の「鉄なべ餃子」があり、北九州のグルメを手軽に味わえるオススメの店舗です。
味処 矢野
味処「矢野」は小倉駅新幹線口からほど近い場所にある、鮮魚・ぬか炊きを専門にしているお店です。
糠本来の風味を大事にしており、ぬか炊きは酸味がきいた優しい味付けとなっています。ぬか炊きには新鮮な魚を使用しており、昔ながらの家庭の味にこだわっているのが特徴です。
5 総合ネット通販で買える商品
・Amazonや楽天など、使いなれていて便利
・大手ショップのポイントが貯まる
・帰りに荷物が増えず、旅に集中できる
・足らなくても、再購入ができる
以下に「ぬか漬け・じんだ煮」のおすすめ商品をピックアップしていますので、是非ご活用下さい。
ぬか漬・じんだ煮
糠蔵
小倉城の〝百年床〟をご情味下さい
北九州観光市場Yahoo!店
現地のお土産屋さんが運営しているストアです。
ぬかみそだきふじた/鯖のぬかだき
製造元:ぬかみそだきふじた
ポイント:濃いめの味つけで酒の肴やご飯にピッタリです。
ぬかみそだきふじた/鰯のぬかだき
製造元:ぬかみそだきふじた
ポイント:濃いめの味つけで酒の肴やご飯にピッタリです。
関連商品
百年床のぬか床
宇佐美商店にて実際に使用された糠。製造は旦過市場で有名な「宇佐美商店」。この糠をもとに、ご自宅で小倉の糠を使ったぬか床が作れます。「百年床」の味をぜひご家庭でも。
ぬかみそ炊きの素
小倉名物の「ぬかみそ炊き(じんだ煮)」を手軽に調理できる煮つけだれ。製造は「ごとう醤油」。定番のイワシやサバの他、椎茸や切り干し大根、豚肉や手羽先など好きな食材を使って小倉の味を味わえます。
6 まとめ
今回は小倉のぬか料理についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の記事で一番覚えておいてほしいことは小倉城と、ぬかという2つのキーワードです。むしろこれが全てでもあります。
お城に関して言及すれば、九州で有名な熊本城の存在が大きいため、今一つ脚光を浴びることが少ない小倉城。しかし、小倉には城下町としての文化が「ぬか料理」というカタチで今も根付いており、現代に歴史を感じさせてくれる貴重な財産なのだと実感させられました。
当時の創りではないけれど、それを感じさせてくれる象徴としての「現在の小倉城」があって本当に良かったと、しみじみ思っております。
最後にお一つ。旦過市場の「ぬか炊き・ぬか漬け」を販売しているお店についてですが、小倉の名物ということもあり「ぬか炊き」を取り扱っている店舗が複数ありました。今回の記事で全部を紹介することができなかったので、そのうち別記事にて改めてご紹介したいと思います。
それでは今日はこの辺で。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
7 参考・出典
公式サイト
・糠蔵 楽天市場店
・百年床・宇佐美商店 宇佐美商店 楽天市場店
・ぬかみそだき ふじた
・小倉 鉄なべ
・味処 矢野
出典・引用
・Walker 小倉が誇る郷土の味“ぬか炊き”が自慢!北九州の台所・旦過市場にある「宇佐美商店」
・フード・レストラン おでかけナビ 北九州の煮魚 ぬか床がミソ
・北九州観光コンベンション協会ONLINE SHOP
・ごとう醤油 ONLINE SHOP
コメント