皆さんは「日本三大餃子」をご存知でしょうか? 「宇都宮」「浜松」そしてもう一つが「八幡」の餃子です。「鉄なべ餃子」発祥の地せもあり、餃子のバラエティーも豊富。今回はそんな八幡ぎょうざを紹介します。
北九州の名物料理である理由
② 大正~昭和初期にかけて大陸の食文化が流入
③ 終戦後より八幡独自の餃子文化が育つ
④ 北九州市八幡区が「鉄なべ」の発祥
⑤ 北九州市・福岡市(一部)にて飲食可能
- 紀元前600年ごろに中国・山東省で誕生したとされている
- 日本に初めて知らされたのは1778年(安永7年)しかし普及にはならず
- 餃子の国内普及は終戦後であり、中国からの引揚者により早い時期から普及する
- 本場中国では水餃子(スープ)や蒸餃子が一般的、日本とは違い主食として食べられる
- 水餃子(茹で餃子)を「餃子(ジャオズ)」、焼き餃子を「鍋貼(グオティエ)」と呼ぶ
1 〝八幡ぎょうざ〟の概要
八幡と餃子の歴史
まず、古くから八幡の地域に餃子の食文化をもたらす要因になったのが、1901年(明治28年)に操業した「官営八幡製鉄所」です。製鉄所ができることによって、鉄を作るために必要な鉱物の取引のため、中国大陸との関係が深まっていきました。また人的交流が広がるにつれ、大陸の食文化が徐々に広がり始めたそうです。さらに製鉄所の労働者は肉体疲労が激しいこともあり、餃子のような安くてスタミナ豊富な食べ物が好まれたそうです。
そして八幡の街に餃子が普及し始めたのが第二次大戦の終戦後です。中国大陸からの引揚者が帰国後にその味を懐かしみ、料理屋に出されるようになったことで一般家庭にも普及していきました。八幡と同様にこの頃、全国各地に餃子の食文化が広がりました。少ない食材で美味しく作ることができたことが、戦後日本に餃子が普及した理由とされています。
2 八幡ぎょうざの特徴
全体的な傾向
八幡ぎょうざの全体的な傾向として、関東の餃子より小ぶりで、皮と餡のバランスを重視していること。そして食べる時の薬味として柚子胡椒が使われること、などが特徴として挙げられます。
また八幡ぎょうざはこのような傾向に加え、主な餃子のスタイルとして4つのジャンルに分かれています。
主流の4スタイル
① 鉄なべ系
鉄板にのまま熱々の状態で食べることができる、餃子のスタイル。関東のものと比べて餃子自体は小さめ。
発祥は1958年(昭和33年)開業、北九州市八幡西区にある「やまとぎょうざ 本店鉄なべ」。中国料理店の本土餃子を参考に、日本人の口に合うよう試行錯誤の末誕生。それが評判を呼び、現在は北九州市内や福岡・博多方面にも「鉄なべ」餃子が広がりつつあります。
② 中国本土系
官営製鉄の関係で、古くから中国大陸との交流が盛んだった八幡の地に根付いた餃子のスタイル。本場・中国では水餃子(茹で餃子)が一般的で、そのため皮の厚い餃子がオーソドックス。その影響で八幡ぎょうざの本土系も、肉厚の皮にジューシーな中身の餃子が特徴です。
③ ラーメン系
中国本土系から派生した、ラーメン店で多く見られる餃子のスタイル。形は一般的な大きさの餃子で皮は薄め。ラーメンの豚骨スープを使って香ばしく焼き上げるのが特徴です。
④ お母さん系
八幡の街に餃子の食文化が根付いた結果、家庭料理としても広く親しまれるようになり、一般家庭で独自に進化した餃子のスタイル。
3 八幡ぎょうざが食べれるお店
八幡には餃子を提供する様々なお店があります。そのごく一部ですが、各4つのジャンル順にご紹介します。
やまとぎょうざ 本店鉄なべ
小ぶりで平たいサイズの餃子を「鉄なべ」で頂ける、鉄なべ発祥のお店。ニンニクは控えめでラードを使用しておらず、もっちりとした皮とクセのない優しい味が特徴です。
「本店鉄なべ」は八幡西区のJR黒崎駅の近く。鉄なべの起源店ということもあり、市内では良く知られていますが、系列店は若松区の「鉄なべ」店のみ。小倉の鉄なべや、博多・中州にもある「鉄なべ」の店とはどれも無関係だそうです。
餃子兄弟
「餃子兄弟」は中国本土系で、皮が肉厚&ジューシーな餃子が売りです。また、本土でも一般的な水餃子(茹で餃子)もこのお店で頂くことができます。茹でた餃子ならではのもちっとした食感がオススメです。
ホームラン本店
ママの餃子
お母さん系ぎょうざを代表する八幡東区にある「ママの餃子」。小さめで細長い、野菜の甘味を生かした餃子が特徴。この人気餃子以外に「手羽ぎょうざ」も同店の人気メニューになっています。
4 おまけ—全国の餃子
八幡ぎょうざの事が分かってきたところで、少しスケールを大きくしていきましょう。餃子が有名なのは何も北九州の八幡だけではない筈です。ネットで調べると、聞きなれない餃子ワードがちらほらありました。まずは〝日本三大餃子〟なるものから見ていきましょう。
日本三大餃子とは?
ネットで調べたところ、まとめサイトや大手のブログサイトでは「宇都宮」と「浜松」は当然ですね。餃子の町としてあまりにも有名ですので(笑) しかし、3番目の餃子になんと「八幡」の文字があるではありませんか! そうなのです。著者は全く存じていませんでしたが、日本の3つの指に入るほど八幡の餃子は有名だったらしいのです。
これもひとえに八幡ぎょうざ協議会と、八幡の皆さんの地道なるPR活動が功を奏したに違いありません。キタキュー凄し! 思わず感動してしまいました(笑)
宇都宮ぎょうざ—栃木県
「餃子といえば宇都宮」といわれるほ餃子で有名な栃木県・宇都宮市。宇都宮ぎょうざの特徴は、野菜が多いこと。主に白菜やキャベツが豊富に使用され、野菜の甘味を生かした餃子となっています。焼き餃子がメインだが、市内の店舗では水餃子もよく提供されています。
浜松ぎょうざ—静岡県
宇都宮と並び餃子の町として全国でも有名な静岡県・浜松市。宇都宮の餃子と比べると、浜松ぎょうざは肉の比率が多いのが特徴。餃子を円形に並べて焼くのもポイントで「円形焼き餃子」とも呼ばれています。また空いた中央にもやしを添えて提供してくれるお店もあります。
八幡ぎょうざ—福岡県
福岡県・北九州市の「八幡ぎょうざ」が日本三大餃子の1つとして数えられています。餃子の解説は当ページでしているので割愛。三大餃子と呼ばれている理由については、①餃子(大陸の食文化)の歴史が古いこと、②全国でも珍しい「鉄なべ餃子」の発祥と普及、が考えられます。
その他の有名な餃子
先ほどの三大餃子以外にも、まだまだ有名な餃子が全国にはたくさんあります。そのごく一部をご紹介していきます。
福島ぎょうざ—福島県
東北地方、福島市の餃子は「円盤ぎょうざ」が最大の特徴。浜松の円形餃子と似ているものの、円盤の名のとおり、円形の中央部分も餃子を敷き詰めているため、ボリューム感が凄いと話題に。餡は野菜が多めでヘルシーなものが多く、あっさり系の餃子です。
津ぎょうざ—三重県
津ぎょうざの歴史自体は浅く、1985年頃に誕生したまだ新しい部類の餃子。その特徴は「大きな揚げ餃子」の一点に尽きます。もとは学校給食での時短料理として大きめの餃子が考案され、市のPR活動を通じて広まったのがきっかけ。その大きさはかなりのインパクトがあり、津ぎょうざの条件として、①直径15㎝以上の皮を使う、②揚げること、の2つを満たす必要がある。
神戸ぎょうざ—兵庫県
日本三大中華街でも有名な神戸市。そんな神戸ぎょうざ最大の特徴が神戸の餃子店独特の「味噌ダレ」を使用すること。パリパリっとした餃子と相性がよく、そんな味噌ダレのブレンドは店ごとのオリジナルです。赤味噌・白味噌が主に味噌ダレのベースとなっています。
博多ぎょうざ—福岡県
八幡と同じ福岡県から、博多のぎょうざも注目されています。「屋台ラーメン」のイメージが強い博多の町。しかし、そんな「屋台」から始まったのが一口餃子です。小ぶりであるため手早く提供できる、という屋台ならではの事情が普及の背景にあります。また、鶏がらスープで作られる「炊き餃子」も徐々に人気が伸びています。
5 まとめ
今回は八幡ぎょうざの詳細と全国有名餃子を簡単にご紹介しましたが、いかがでしたしょうか?
記事中にも書いてありますが、八幡ぎょうざが「日本三大餃子」の一つに数えられることを知って、素直に驚いています。
また以前から、黒崎駅周辺など八幡方面には「昔から中華料理屋さんが多い」という地元の方の話を聞いていたので、今回の調べで漠然とした疑問が解消されたことも個人的な収穫でした。
小倉住まいなのでなかなか八幡方面には出られませんが、これをきっかけに色々と探索したいと思います。
ちなみに、著者が一番食べてみたい全国の有名餃子は……
津市の巨大揚げ餃子です(笑)
それでは今日はこの辺で。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
6 参考・出典
公式サイト
・八幡ぎょうざ協議会
・やまとぎょうざ 本店鉄なべ
・小倉 鉄なべ
・博多中州 鉄なべ
・ママの餃子
参考サイト
・餃子情報専門サイト 餃子のルーツは知れば知るほど美味しく感じる?!餃子の歴史を解説
・手作り餃子サイト 餃子の歴史
・旅ぐるたび 鉄なべ餃子発祥、バラエティー豊かな「八幡ぎょうざ」を、とくと味わう
・食べログmatome 九州ご当地グルメ【八幡ぎょうざ】を食べ歩き!
・八幡「中国本土系餃子」の代表格「友ちゃん餃子」で焼き餃子&水餃子【穴生】
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